桐生 遼介

サイエンスライター

サイエンスライター。暗号と映画・文学・パズル文化の接点を探るコラムを得意とし、暗号を「解く楽しさ」から伝えます。

コラム古典暗号暗号図鑑

科学雑誌・Webメディアで執筆。謎解きイベント監修経験あり。

桐生 遼介の記事 (9)

古典暗号

書籍暗号は、平文の語や文字を本の中の位置を示す数字の組に置き換える換字式暗号である。1780年の西点要塞引き渡し交渉では、アーノルドとアンドレが辞書や法律書を鍵本に用い、同じ版を持っていることだけが通信の前提になった。

コラム

クリプテックスは、2003年刊行の『ダ・ヴィンチ・コード』のためにダン・ブラウンが生み出した、暗号と写本を掛け合わせた携帯型の金庫である。レオナルド・ダ・ヴィンチの発明ではなく、物語の中で聖杯の在り処を守る要石として置かれた道具だ。

コラム

ダイヤル錠は、古代ローマ以来の南京錠の発想を受け継ぎつつ、1857年に番号を変更できる仕組みとして発明された、手のひらサイズの機械式暗号装置である。空港のカウンター前で搭乗時刻が迫るなか、スーツケースの3桁ダイヤルを頭から回し続けた経験があると、この金属の塊は何も語らないように見える。

古典暗号

レールフェンス暗号は、平文の文字を柵のレールにジグザグに書き、段ごとに拾い直して並び順だけを変える転置式暗号である。別名はジグザグ暗号で、換字式と違って文字そのものは置き換えないため、暗号文の文字の出現頻度が平文と一致する。

古典暗号

ポリュビオスの暗号表は、5×5のマス目に文字を並べ、その位置を行番号と列番号の2桁で示すだけの、きわめてシンプルな換字式暗号である。名前は難しそうでも、数学の知識は要らず、表さえあれば誰でも文字を数字に変え、数字を文字に戻せます。

古典暗号

踊る人形は、アーサー・コナン・ドイルの短編に登場する暗号で、1903年12月に雑誌発表され、1905年刊行の『シャーロック・ホームズの帰還』にも収録された作品です。

古典暗号

アフィン暗号は、アルファベットを A=0 から Z=25 に数値化し、E(x)=(a·x+b) mod 26 で1文字ずつ置き換える換字式暗号です。シーザー暗号が「足すだけ」なのに対し、アフィン暗号は「掛けてから足す」ことで鍵を a と b の2つに増やし、少しだけ数学的になった暗号として位置づけられます。

古典暗号

モールス信号は、短点(トン)と長点(ツー)だけで文字を表す、3:1の時間構造に支配された符号体系である。欧文26字、数字10字、和文48字を前にして一覧表で固まってしまう最大の理由は、これを丸暗記の対象として見てしまう点にあります。

コラム

紙にHELLOと書き、文字を3つ先へずらしてKHOORに変えると、暗号はまず手で触れる遊びとして立ち上がります。そこからブラウザの錠前アイコンを開く気持ちでTLS 1.3の流れを指でなぞると、暗号は遊びではなく、毎日の通信を支える社会基盤だと実感できます。