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暗号史

字変四十八(上杉暗号)は、上杉謙信に伝わるとされる、いろは48文字を7×7の表に並べて仮名を数字の組に置き換える座標式の暗号である。数字だけが連なる不思議な書状は、見た瞬間に「これをどう読むのか」という謎を投げかける。

古典暗号

書籍暗号は、平文の語や文字を本の中の位置を示す数字の組に置き換える換字式暗号である。1780年の西点要塞引き渡し交渉では、アーノルドとアンドレが辞書や法律書を鍵本に用い、同じ版を持っていることだけが通信の前提になった。

現代暗号

TOTPは、共有秘密鍵と現在時刻を使って6桁のコードを導く認証方式である。機内モードでも表示が更新される事実が示すように、コードはサーバーから送られてくるのではなく、端末とサーバーが同じ入力に同じ計算を施して独立に一致している。

現代暗号

bcryptは、1999年にNiels ProvosとDavid Mazièresが発表した適応的パスワードハッシュであり、Blowfishの重い鍵スケジュールを利用して意図的に処理を遅くした方式です。

現代暗号

LINEのLetter Sealingは、2015年に導入されたLINE独自のエンドツーエンド暗号化である。情報セキュリティ企業で暗号実装の検証業務に携わっていた頃、「うちはTLSで暗号化しているのでE2EEです」という仕様書に何度も出会い、そのたびに区間暗号と端末間暗号の違いを図に描いて説明してきた。

コラム

クリプテックスは、2003年刊行の『ダ・ヴィンチ・コード』のためにダン・ブラウンが生み出した、暗号と写本を掛け合わせた携帯型の金庫である。レオナルド・ダ・ヴィンチの発明ではなく、物語の中で聖杯の在り処を守る要石として置かれた道具だ。

コラム

ダイヤル錠は、古代ローマ以来の南京錠の発想を受け継ぎつつ、1857年に番号を変更できる仕組みとして発明された、手のひらサイズの機械式暗号装置である。空港のカウンター前で搭乗時刻が迫るなか、スーツケースの3桁ダイヤルを頭から回し続けた経験があると、この金属の塊は何も語らないように見える。

古典暗号

レールフェンス暗号は、平文の文字を柵のレールにジグザグに書き、段ごとに拾い直して並び順だけを変える転置式暗号である。別名はジグザグ暗号で、換字式と違って文字そのものは置き換えないため、暗号文の文字の出現頻度が平文と一致する。

古典暗号

ポリュビオスの暗号表は、5×5のマス目に文字を並べ、その位置を行番号と列番号の2桁で示すだけの、きわめてシンプルな換字式暗号である。名前は難しそうでも、数学の知識は要らず、表さえあれば誰でも文字を数字に変え、数字を文字に戻せます。

古典暗号

踊る人形は、アーサー・コナン・ドイルの短編に登場する暗号で、1903年12月に雑誌発表され、1905年刊行の『シャーロック・ホームズの帰還』にも収録された作品です。

古典暗号

アトバシュ暗号は、アルファベットを逆順に折り返して対応させるだけの、きわめて単純な換字式暗号である。A は Z、B は Y と対応し、暗号化と復号が同じ操作になる自己反転性を持つため、仕組みの核心はこの一文だけでほぼつかめます。

古典暗号

アフィン暗号は、アルファベットを A=0 から Z=25 に数値化し、E(x)=(a·x+b) mod 26 で1文字ずつ置き換える換字式暗号です。シーザー暗号が「足すだけ」なのに対し、アフィン暗号は「掛けてから足す」ことで鍵を a と b の2つに増やし、少しだけ数学的になった暗号として位置づけられます。