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現代暗号

HTTPSのサイトを開く瞬間、画面の裏側では毎回の接続ごとに一時的な鍵が組み立てられています。そこで土台になっているディフィー・ヘルマンは暗号化そのものではなく、盗聴される回線の上でも、双方が同じ秘密を共同で作るための鍵合意プロトコルです。

コラム

調達仕様書のレビューで、アルゴリズム名だけが並び、肝心の鍵長がどこにも書かれていない文書に出会ったことがあります。その場では通っても、後日AESの解釈がベンダーごとに割れ、評価軸のすり合わせがもつれた経験から、暗号は名前だけで選ぶものではないと痛感しました。

暗号史

最古の暗号は本当に「秘密」を守っていたのか。この記事ではまず、内容を読めなくする暗号(cryptography)と、そもそもメッセージの存在を隠すステガノグラフィー(steganography)を切り分けたうえで、古代の実務では何がどこまで隠されていたのかを見ていきます。

暗号史

9世紀のバグダードでは、翻訳運動がギリシア語やシリア語の知をアラビア語へと流し込み、知恵の館を中心とする濃密な知的環境が育っていました。その空気のなかで、クーファに生まれ、バグダードで学び、アッバース朝の保護のもと活動した学者アブー・ユースフ・ヤアクーブ・イブン・イスハーク・アル=キンディーは、

暗号史

1940年代のある朝、ブレッチリー・パークの机には無線傍受紙が山のように積まれていた。日替わりの鍵が変わる前にその日の通信を開かなければならない切迫した空気が、常に場を満たしていた。

暗号史

チャートリー城の薄暗い部屋で、秘書が小さな記号表を指でなぞりながら記号を並べていく――その手触りを思い浮かべると、1586年のバビントン陰謀事件は「暗号が破られた話」だけでは済まないとわかります。

暗号史

夜の村を駆ける密使が懐に忍ばせるのは、ごく短い密書でした。そこから二百数十年後、1939年の霞が関では外交官がタイプ音を響かせ、暗号機B型、通称パープル暗号で欧文電報を打っています。

暗号史

イェール大学バイネキ稀覯本・手稿図書館の高精細ビューアでヴォイニッチ手稿の植物ページをフルスクリーンにすると、どこか薬草書を思わせる葉や根のかたちが目に入るのに、その脇を埋める連続した字形だけは一文字もこちらに開いてくれません。

コラム

机の上にO U O S V A V Vだけが刻まれた紙を置いて意味を考えてみると、未解読暗号の難しさは一瞬で伝わります。手がかりが少なすぎると、解読はひらめきの勝負ではなく、検証そのものが立ち上がらない。

コラム

暗号の本は、歴史から入るか、仕組みを先に押さえるか、実装に触れるか、理論を掘るか、耐量子まで見据えるかで最適な一冊が変わります。本稿はおすすめ10冊を読者タイプ別に整理し、「最初の1冊」と「次に読むべき一歩」を具体的な学習順序とともに提示します。

古典暗号

謎解きイベントで拾った英字の暗号メモを前に、筆者はスマホを開かず、紙と鉛筆だけで文字の並びを眺め、まず換字か転置か、短文か長文かを見極めるところから始めました。観察して仮説を立て、1つずつ確かめていくと、暗号は思ったより「勘」ではなく手順でほどけます。

古典暗号

短い暗号文を紙に印刷し、鉛筆で正の字を書き込みながら最頻文字に丸を付け、目立つ二文字列に下線を引いていくと、ただの記号の列だったものに急に輪郭が出てきます。頻度分析の核心はここにあります。自然言語の文字の偏りは、単一換字式暗号にかけても消えず、そのまま暗号文に残るのです。